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兄蔵

 投稿者:づめ  投稿日:2009年 6月 4日(木)20時35分9秒
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  5月の終わりにあるミュージシャンが山に来た。

ミュージシャンが山登りを趣味にするのはおかしくはないけど、今回はプロモーションビデオ(以下PV)の撮影で、他にカメラマンや制作会社スタッフ、それに一緒にPVに出演する売り出し中の女優「儒河(ジュカ)」さんと、総勢8人の大所帯。

そのミュージシャン、「兄蔵(アニゾウ)」さんというベースプレイヤー。

ベースというと、音楽に興味のある方ならベースという楽器の重要性、面白味、奥深さをご存知とは思うけど、ごく一般には「地味〜」なイメージがあるかも。
しかし「兄蔵」さんのベースは、所謂バンドの中のパートの一つ「ベース」ではなく、「ベース・ソロ・パフォーマー」。
タッピングという特殊な奏法で音を奏でる。

新宿駅の路上での演奏を主として、いろんなライブハウスでも活動している。

そんなベース・ソロ・パフォーマー「兄蔵」さんが甲武信にてPV撮影をする事になったには、ちと訳がある。


去年の2月から毎月第二火曜日、私が東京四谷でライブをしているアコースティック・ディオ「稲野真人withきーちゃん」。
その稲野真人さんが私と演奏する前に組んでいたバンド「稲野バンド」でベースを兄蔵さんが弾いていた。
訳あって解散してしまったが、「稲野真人withきーちゃん」に変わってもお客さんとしてよく聴きに来てくれていた。
そんな折、山登りも好きだという兄蔵さん、私が山小屋に勤めている話から、「今度遊びに行こうかなあ〜」となったのが去年の11月。
雪の舞う11月に友達を連れて遊びに登ってきてくれた。友達のミュージシャンが小屋に来てくれたのは初めて。うれしかった。
薪ストーブの前で小屋の周辺の景色の話になり、私のお勧めスポットの一つの三宝岩の話になった。

甲武信岳の隣の山、三宝山は埼玉県の最高峰(2483m)。そのすぐ南側にある巨大な岩が三宝岩。
岩のてっぺんに立つと、空が大きく開け千曲川源流が大きくえぐれ甲武信山頂に緩やかにせり上がる。
まるで巨大なスタジアムのステージに立っている様。映画にもなったアメリカでの伝説的イベント「ウッドストック」の様な景色。
そんな話を私が熱っぽく語ったのをずっと気にとめていてくれたそうだ。

今月、3枚目のアルバムを発売する兄蔵さん、勢いに乗ってDVDを作ることとなり、「山での演奏風景もいれたい」との兄蔵さんの希望から、知る人ぞ知る「三宝岩」での撮影になったというわけ。



兄蔵さん以外はほとんど山登りは初めての今スタッフ。
私、小屋の常連さんHさん、去年小屋の手伝いを1ヶ月してくれたこーちゃんも機材背負いをかってでてくれて、総勢11人で毛木平から甲武信へと向かった。

初めはワイワイ歩いていたがしばらくすると「シーン」と なり、ただ黙々と歩くスタッフ。
でも休憩時は皆、初めて見る山の景色に嬉しそう(に見えた)。
趣味でなければ普段経験する事のない非合理的な行為の山登り。
そんな自然の真っ只中に身をおくと初めて会う人ともすぐに打ち解け、連帯感が生まれてくる(ように感じた)。

兄蔵さんの思いつき一つで山を登る羽目となったスタッフも、互いに励ましあい、罵り合いながらひたすら登る。
山頂が近づくと自然と皆意気が上がり、声が挙がる(が、足は上がらずペースも上がらず…)。
夕食ギリギリで小屋に到着。

その晩は兄蔵さんと儒河さんのミニライブ。
私もちょっとだけギターで参加させてもらった。
楽しい晩は夜更けまで続く…ことなく皆早々に寝床へ。

次の日は件の三宝岩での撮影。途中、雷が轟き、それを潮に小屋へ帰ってきた。
どんな絵が撮れたかなあ…。

二泊三日の撮影を終えた下山日、山の神様は最後に微笑み、季節はずれの雪を降らせてくれた。

途中まで荷を背負いがてら見送りに行ったが、さて…みんな山を好きになってくれたかなあ。
好きにならずとも、よい思い出になってくれればと思う(難しいかあ…)。

いつかまた遊びに来てもらいたい(仕事以外では…来ないだろうなあ)。



そんなベース・ソロ・パフォーマー「兄蔵」さんのPV撮影でした。
秋にはDVDで発売予定だそうな(全編山の映像ではないよ)。

興味のある方は「兄蔵」で検索してみて。

あと、新宿駅を東南口改札からでると、優しい音色が聞こえてくるはず。

近くにお住まいの方は何かのついででもいいから寄ってみて。


ともあれ、私にとっては楽しい一時だった。
 
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